わくわく♪ 貝殻通信

和歌山の海や大阪湾で採集した貝殻を紹介します

大阪湾の貝 ヒメカノコ(Clithon oualaniense,1831)


5月に行ったヒメカノコ採集の様子を紹介します。

2019年 貝塚市 生貝採集 10mm

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ヒメカノコ(Clithon oualaniense,1831)

【分布】房総半島以南
【生息】河口域泥上     
【打ち上げ】場所によっては見かける

干潟が埋め立てられたことにより本州では生息域が減っているとされる。そんなヒメカノコが、大阪湾の干潟でも採集できると知って去年から探していました。川底を網で浚ってみたり、干潟で転石をひっくり返してみたけれど、見つかるのはイシマキガイばかり・・・。

そんな中、先日、貝の先生に質問する機会があって教えていただいたポイントが、

汽水域でも、絶えず新しい波が
入ってくるような場所ではなく、
淀んでいて泥っぽい所に生息している。

なるほど、これでとりあえず探す場所の特定が出来ました。すると、ウミニナがいる泥っぽい水たまりでイシマキガイに混じってヒメカノコらしきものが・・・

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他のイシマキガイと比べると殻表の光沢が強くて形が丸いし模様も違う。そして、いちばん分かりやすいのが蓋の色の違い。magokorogaiさんのブログ「鳥だ!飛行機だ!いやセンベイアワモチだ!」を参考にさせていただきました。

イシマキガイの蓋は肌色で、外縁が赤色。
ヒメカノコの蓋は、黒色もしくは暗色。

ひっくり返してみると、軟体がヒラヒラしていましたが、指で押すと蓋が出てきました。暗色だったのでヒメカノコで間違いないですね。

下の写真は、上がイシマキガイで下にいるのがヒメカノコ。手の上に乗せると、じきに殻から頭を出して活発に動き回ります。これがかなりのスピードで驚きました。

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この後、泥底を這っていたり、水溜まりの底に沈んだ木片にくっついているものをいくつか見つけました。写真では見にくいのですが、模様のはっきりとした個体もいて、ひとつひとつ柄が違います。

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ちなみに下の写真はイシマキガイ。幼貝には黄色や白色の個体もいます。

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そして、いくつか触っていくうちに分かったことが・・・。

ヒメカノコの殻表はツルツルしている。
イシマキガイの殻表はザラザラしている。

そのうち慣れてくると、殻の形を見ただけで何となく分かるようになりました。この日見かけたイシマキガイとヒメカノコの比率は10対1くらいでした。南方系のヒメカノコですが、今後は大阪湾で当たり前に見られるようになるのでしょうか。